ぽっかぽか

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【書評】知識と心構えが身につく「面白くてよくわかる!臨床心理学」福島哲夫

こんにちは!あみかです。

本日は心理士となるために勉強になる本を紹介させていただこうと思います。

 

今回紹介するのは、「面白くてよくわかる!臨床心理学-心の悩みを理解し、サポートする大人の教科書」(福島哲夫)という本です。

 

この本は、「よくわかる」とある通りかなり易しい本ですが、以前図書館で少しだけ読んで気になっていたので、今回選びました。

 

やはり大事なことが詰まった良い本だと感じたので、ご紹介させていただきます。

 

 

基本データ

 

対象:心理の専門家を目指す人・心理の専門家になったばかりの人

著者の立場:教授・実践者

著者の学派(オリエンテーション):統合的心理療法

発売年:2009年

 

 

まず、対象はおそらく心理の専門家を目指す人向けです。

書籍のサブタイトルに「心の悩みを理解し、サポートする大人の教科書」とありますから、一般向けっぽくも見えますが、内容は専門家が読むべき本になっています。

 

もちろん一般のサポートする大人が読んでもかまいませんが、いろいろな心理療法について説明されても困ると思いますから、少なくとも本の内容すべてを役立てられるのは専門家であると言えます。

専門用語が少なく、右ページが説明、左ページは図解といった構成になっているので、読みやすくはあると思います。

 

 

次に、著者のオリエンテーションは統合的心理療法です。

特定の技法にこだわらず、いろいろな心理療法をクライエントに合わせて使おうとする心理療法です。

 

ただ、ユング派の教育分析をうけたこともあるようです。

「布置」などユング派特有の用語も出てきます。

 

ユング心理学をある程度勉強していなければ、知る機会の少ない用語ではないでしょうか。

 

 

もくじ

 

1章 臨床心理学とは

2章 人の心をカウンセリングするには

3章 カウンセラーが扱う心の症状

4章 さまざまな心理療法と心理テスト

5章 今求められている臨床心理

6章 臨床心理士、カウンセラーの資格と仕事

 

 

1章では、臨床心理学とはどんな学問か、フロイトユング・ロジャースの考え方、臨床心理学の研究、正常と異常など臨床心理学の概要が包括的に説明されています。

 

2章では、カウンセリングに必要な心構えなどが示されています。

 

ここが一般的な学問としての臨床心理学を紹介する本とは異なる部分です。

実践的なことが書かれています。

 

3章では、様々な精神障害発達障害などについてごく簡単に説明されています。

情報量が少ないですが、まだあまり勉強していない方はサラッと読んでみてもいいかもしれません。

 

2009年に発売された本ですので、DSM-5に対応していない点は注意が必要です。

 

4章では、さまざまな心理療法と心理アセスメントの概要が説明されています。

広く浅くといった感じで1つ1つの心理療法の情報量は少ないですが、内観療法森田療法夢分析など数多くの心理療法が紹介されています。

 

心理アセスメントに関しては、1つ1つの心理検査を紹介するのではなく、アセスメントにおいて重要なことが述べられています。

 

5章では、現代社会の心理的問題に関するお話がたくさんあります。

 

6章では、カウンセラーが働く職域をいくつか説明しています。

 

このように、心理の専門家を目指す人が知りたい情報を包括的に教えてくれる本です。

 

 

評価

 

書籍の読みやすさ(1~5):★★★★★

試験お役立ち度(1~5) :★★

実践お役立ち度(1~5) :★★★★

 

 

 

 

前述の通り、非常に読みやすい本です。

ユング心理学特有の概念である布置の説明も、そんなに難しく感じませんでした。

 

このように初学者向けの読みやすい本となっていますが、院試や臨床心理士公認心理師試験に役立てるような本ではありません。

 

実践よりのため、心構え的なお話は、役に立つ…というより、勉強になるように感じました。

 

 

読んだ感想 ~驚いたことを中心に~

 

初っ端から「臨床心理学とは、魂を救う学問」と書いてあり、なんだかぎょっとしてしまいした。

が、ちゃんと読むと別にスピリチュアルな本というわけではなく、この著者の言葉ではそういう言葉遣いになっただけだと分かります。

 

ついでにもう一つぎょっとしたことを書いておくと、カウンセラーは時には叱ることも必要という記載もありました。

実践を何もしていないので、どんな関係性で、どんなときに叱ることになるのかイメージできないのですが、少なくともこれを読んで、「叱るなんて絶対にご法度」と決めつけるのは良くないだろうということに気づきました。

 

長く、長く心理士をやっているとそういうことが必要な場面もきっとあるのだと思います。

頭の隅に、置いておこうと思います。

 

 

学んだこと

 

勉強になったのは、心構え的なことです。

どれもどこかでは聞いたことがある内容だったかもしれませんが、改めて重要なことを噛み締められたように思います。

 

常に反省し続ける(振り返り続ける)こと、「わかってほしい」という気持ちに答え、理解しようとすること、相手を理解するためには自分を理解すること…。

 

心理士として重要なことを学びました。

もしこれを見ている方が私と同じように心理士を目指している方ならば、どれもどこかで聞いたことがあって、知っているはずです。

 

けれども、本で読む文章は不思議なもので、改めてすとんと頭に入るような感覚があります。

長年の臨床経験の含蓄があります。

 

そういうわけで、心理の専門家を目指す方には、ぜひ読んでみると良いのではないかと思います。